スター農家ラボ(ブログ)

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ゆきやまと農場さま突撃インタビュー

新潟の米農家の戦略設計
― 拡大を見据えた“今のつくり方” ―


2021年に事業を継承し法人化、今年で6期目を迎えたゆきやまと農場株式会社。代表の村山さんは、先祖代々続く米農家の7代目として2015年に就農しました。

現在は約25haの水稲を中心に経営しながら、将来的な規模拡大も見据えつつ、「今の規模でどう売上を伸ばし、どう組織をつくっていくか」というテーマに向き合っています。

今回は、「魚沼というブランド産地の中で、どのように自社の戦い方を描いているのか」経営全体の設計についてお話を伺いました。

Q1.就農のきっかけを教えてください。

A.完全な反骨精神。魅力ある職業なことを証明したい。

もともと私は、先祖代々農業を営む家系に生まれましたが、実家を継ぐつもりはありませんでした。農家である父に対するリスペクトはもちろんあったのですが、農業で生計を立てていくイメージを持ちきれていませんでした。

埼玉の大学に進学しそのまま就職するつもりでしたが、転機は大学3年生の頃です。TPP問題が話題になっていた時期、友人から「日本の農業は終わりだな、実家も厳しいんじゃないか」と言われました。悪意がないのは分かっていたのですが、誰が作った米で育ってきたのか、農業の現場を知らない人にそう言われたことに、そのとき大きな悔しさを感じました。同時にこれからは一層、農家と消費者の距離が広がるのではないかという不安と違和感も覚えました。

完全に反骨精神からのスタートなのですが、この出来事をきっかけに、「農業は儲からない」というイメージを覆し、しっかりと儲かる魅力ある職業であることを証明したいと思うようになりました。

大学卒業後は日本農業経営大学校で2年間学び、その後5年間、父のもとで現場と経営を学びました。29歳(2021年)で事業を継承し法人化し、自らの経営で証明する挑戦が始まりました。

Q2.品目選定で意識していることはありますか?

A.ただの足し算になることはしない。相乗効果を生むかどうか。

就農当初、作業の平準化や年間通じた売上確保を見据え、畑作としてカボチャとスイートコーンにも挑戦しました。

しかし、畑作の作業は米作の繁忙期と重なり、忙しさが増えるだけの状態になってしまいました。人を雇うことも検討しましたが、人手は米作だけでも足りていない状況で、労力と人件費が増える一方でメリットは感じられませんでした。

この経験から、「ただの足し算になる取り組みはしない」という判断軸が明確になりました。
現在は、複数品目で広げるのではなく、水稲に集中しています。今後も全体のタイミングを見て、その組み合わせを以って相乗効果を生むかどうかで判断したいと考えています。

Q3.販売戦略を教えてください。

A.魚沼産のトップ層とは競争しない。

今後の米価については下落すると想定しており、直販の比率を上げていきたいと考えています。
現在は直販が約2割ですが、3年後には4割まで引き上げることを目標にしています。
現在は直販既に取り組んでいる友人に教えてもらいながら、現在は複数のネットショップやふるさと納税サイトに出品しています。その中で考えた販売戦略が、魚沼産の中でも高価格帯で販売されている、いわゆる“高級路線の方々とは無理に競争しない”ということです。

弊社は今後の規模拡大も見据えながら、生産原価を抑えつつ、いかにシンプルに美味しく作れるかを追求しているので、価格はあえて高級帯に合わせるのではなく、魚沼産の中でも手が届きやすい価格帯を意識しています。商品のデザインもこだわりを持たせ、「新しい魚沼産」というイメージを持ってもらえるようにし、結果として、高価格帯のお客様と競合するというよりは、これまで他県のお米を購入されていた方や検討されていた方が、「ちょっと面白そうだな」と感じて手に取ってくださっている印象があります。

Q4.米作りのこだわりポイントを教えてください。

A.原価を下げつつ美味しさを上げる!

今後の規模拡大を見据えたとき大事なのは、“原価を下げつつも美味しさを担保できる栽培の仕組み”を追求することだと思っています。そのために取り組んでいるのが、土づくりと施肥設計です。家畜ふんやキノコ菌床、酒粕などの地域資源を取り入れながら、コスト抑制と土壌環境の改善に繋げています。

また、元肥を減らし追肥でコントロールすることで、原価を抑えながら食味を高める工夫をしています。特に、最初の追肥のタイミングを早めることで、窒素が後に残らずより美味しいお米に仕上げることができます。

大前提ではありますが、規模拡大しても同じ収量・美味しさを維持するためには、栽培について継続的に考え、試行錯誤を重ねていくことが最も重要だと感じています。

Q5.今後のビジョンを教えてください。

A.規模拡大に備えた採用と組織づくり。

現在の組織体制は、父と私、そして繁忙期のパート約8名。基本栽培管理~精米は私が行い、除草剤の散布等、一部を父にサポートしてもらっています。

今後特に5年後から農地の拡大も見込まれていますが、それまでは面積が大きく増えるわけではありません。だからこそ、「今の規模で売上をどう伸ばすか」が重要なテーマになります。畔草刈りや溝切り等の重労働について、集落中に呼びかけてピンポイント&高単価で働いてもらうような形を取り、収量と品質に直結する追肥作業を確実に行えるようにしたいと思っています。

また、直販を伸ばしていくにも、精米・出荷・事務まで含めた体制づくりが不可欠です。
現在は自宅で精米作業を行っていますが、今後は近隣倉庫を改修し、妻にも作業に入ってもらいながら精米所として整備する予定です。

今後の拡大を見据え、正社員を2名ほど(妻含む)採用したいと考えています。特に米農家では水管理が重要で、早朝対応も必要になるため、「近くに住んでいて臨機応変に動けること」が採用の大きなポイントになります。

これらの計画を実行するためには、それを支える組織基盤が重要になる。その前提で、クロスエイジさんにもサポートしてもらいながら、今のうちから体制づくりを進めています。


村山さん、貴重なお話をありがとうございました。

スター農家クラウド編集部
スター農家クラウド編集部
スター農家クラウド/Web編集メンバー 鈴木

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