【休眠預金】農福連携 ブログ

          

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株式会社春口農園さま中間インタビュー

No.1にこだわる青ネギ農家が農福連携プロジェクトに乗り出す理由。


株式会社クロスエイジ(以下、クロスエイジ)は、「大規模農業経営の安定した人材確保と経営」「障がい者の農業現場での活躍」ができる地域や社会を目指すべく、休眠預金活用事業における資金分配団体として、農福連携推進のために活動する6実行団体の支援を行っています。

今回は本プロジェクトの実行団体である、福岡県で青ネギを栽培している株式会社春口農園(以下、春口農園)の代表取締役・春口 裕一さんに休眠活用事業に申請したきっかけや事業発案への想い、今後の展望についてお伺いしました。



春口農園さまの休眠預金活用事業の事業内容ついて教えてください。

大規模ネギ農家による農福連携推進事業として、青ネギの生産加工の拡大と就労継続支援A型事業所の設立を行います。

就労継続支援A型事業所を開設し、最低賃金以上の給与と安定した仕事量を確保することで、施設利用者の生活の向上や自立に向けた支援に取り組んでいきます。また、施設利用者が活躍できる場を提供することで農業の人手不足を解消し、農業生産の安定を目指します。当農園ではネギを年間通して生産しており、ネギの選別、袋詰め、工場の清掃、種まき、草取りなどの業務が季節によって偏らないことが特徴です。

休眠預金活用事業に申請したきっかけを教えてください。

20年前に「就労継続支援B型事業所にいる障害のある方への仕事はないか?」という相談を受け、ネギを揃える仕事を依頼したことが、障害のある方の方の可能性を感じたことがきっかけです。2つの施設で合計30人ほどの方へネギの選別作業をお願いしましたが、非常に助かりました。

ただ、就労継続支援B型事業所から来る方々の1カ月の賃金が5,000〜1万円ほどだったので、それは低すぎると感じました。彼らはしっかり働いてくれているのですから、せめて最低賃金は出せるような仕組みを作り、業務を内製化したいと思いました。内製化によって幅広く仕事を頼めるため、障害のある方に渡せる金額はもっと上げられるうえに待遇も良くなると考えたのです。

事業発案には、どのような想いがあったのでしょうか?

もともと障害のある方へ仕事を提供させていただいていたこともあり、彼らの活躍の可能性を感じていました。そこで、就労継続支援A型事業所を開設することで、新たな雇用の循環が生まれると思ったんです。雇用が増えれば事業が拡大し、ゆくゆくは地域にも雇用が生まれる。弊社がその循環をうまく作ることができれば、地域活性化にも繋がるという確信から事業を発案しました。

現在の休眠預金事業の状況を教えてください。

2023年10月から事業所の着工を始め、2月に就労継続支援A型事業所が完成しました。2024年4月にオープン予定です。立ち上げに伴って勉強のために他の就労支援事業所を5件回りましたが、特に福岡県久留米市にあるTANOSHIKA FARMさんが参考になりました。

また、社会福祉士の国家資格の取得を目指して私含め従業員4人で通信制大学に通っています。目的はサービス管理責任者の資格を取って、福祉についての理解を深めるためです。
福祉への理解がある上で指示を出したほうが従業員が動くイメージがつきますし、今後の展望も描きやすいでしょう。さらに、全体を統括する上で、事業への理解度が欠かせないと思っています。

農福連携で実現したいことは何ですか?

1~3年後のうちに実現したいことは下記です。

■障害のある方にしっかり活躍してもらう場をつくる
■売上を伸ばし、農業に人を呼び込める仕組みを作る
■就労継続支援A型事業所の定員を10人から20人にまで増やす
■障害のある方の自立支援のためにグループホームを建てる

多様な人材や考えを取り入れながら、利用者も従業員も誇りを持ち、楽しく過ごせる就労支援事業所を作りたいと考えています。

春口農園が考える長期的な展望を教えてください。

障害のある方・外国人など、多様な人物が農業に参入し継続的に活躍することで、人手不足の解消を目指したいです。農業と福祉は親和性が高いので、1+1=3にもなります。というのも、農業や福祉だけでなく、飲食・野菜の加工、様々な分野でシナジー効果が生まれるからです。農業の可能性をさらに広げるために、多岐にわたる事業を展開してみたいです。

さいごに

なんのためにやるのか、それは「自分の関わった人には幸せになって欲しい」という想いからです。私は「縁ある人の人生を良くする」「身近な人に楽しく幸せに過ごしてもらいたい」と強く思っています。

農業はリスクが高いとも言われています。投資をしてもリターンが明確ではないからです。例えば多額な初期投資をしてトラクターや倉庫を買って、人を雇って野菜を育てても災害などで台無しになって売上が立たなくなることもあります。しかし、私は農業が好きだからこそNO.1になって、人々から憧れられる農家になりたいです。もっと農業の素晴らしさに触れられる人材が増えれば良いなと思っています。


(執筆:ひのりほ/編集:柴萌子)

スター農家クラウド編集部
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スター農家クラウド/Web編集メンバー