スター農家ラボ(ブログ)

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有限会社清木場果樹園さま突撃インタビュー

果樹農家が6次化を成功させ、
金柑を使用したオリジナル商品を世の中に広めた方法とは?


3代にわたり100年も続いている清木場果樹園さま。
果樹農家では難しいと言われている6次化を成功に導けたのは、一つひとつの課題を戦略的に考え実行したからこそ。

今回は、清木場果樹園の清木場真一さんに、実際にどのような活動を行ってきたのかお伺いしました。

目次[非表示]

  1. Q1.金柑の廃棄ロスをなくすために、6次化を試みたそうですね。具体的に何を行ったのでしょうか?
  2. Q2.清木場さんの商品はこだわりがたくさん詰まっているのが魅力的だと思います。商品を販売するにあたって取り組まれたことはありますか?
  3. Q3.地道に商品を売り出し、認知してもらうことが必要なのですね。その後、清木場さんが作る金柑のニーズが高まっていき、金柑の加工の規模拡大をすることになったのですね。
  4. Q4.クロスエイジも清木場さんの経営コンサルトとして関わっていますが、どのような存在ですか?
  5. Q5.チャレンジを続けられる清木場さんの今後のビジョンを教えてください。

独自の戦略で完熟金柑を全国に広める。安定した生産を続ける秘訣とは?

Q1.金柑の廃棄ロスをなくすために、6次化を試みたそうですね。具体的に何を行ったのでしょうか?

A.私たちの果樹園では完熟した金柑を生産するために、土壌作りからこだわっています。有機肥料減農薬を徹底し、害虫がほとんどいないミネラル豊富な土壌になるよう研究し続けました。このような環境で作られた金柑から、形の良い完熟されたものを選別し出荷しているのですが、中には選別から外れた金柑もあります。これらの廃棄ロスを減らしたいと思い、工業クラブと協力して金柑黒酢を製造したことが、加工商品の開発を始めたきっかけです。

金柑黒酢がなかなか売れず困り果てていたところ、食品関係の知り合いから「金柑のジャムを作ってみてはどうか」とアドバイスを受けて試してみた結果、完熟金柑の味が引き立てられたジャムができました。ジャムの売れ行きはよく、日経新聞に掲載されるほどの人気になりました。現在は鹿児島県だけに留まらず、全国区にわたって金柑ジャムが届けられるようになりました。

Q2.清木場さんの商品はこだわりがたくさん詰まっているのが魅力的だと思います。商品を販売するにあたって取り組まれたことはありますか?

A.金柑を使った商品の売れ行きが安定してきた段階で、法人化をしました。理由は、商品に自分の名前が記載される際に、個人名より会社名のほうが社会的な信用が高まると考えたからです。法人化したことで何か大きな変化はなかったのですが、トレードショーで出店するときなど清木場果樹園の商品を紹介するときに、信頼が高まりました。

また、トレードショーでバイヤーさんの目に留まるようにするために商品のコンセプトをはっきりさせたのがよかったですね。私のように個人経営の農家だと大量生産が困難なうえに、安く販売しても他のナショナルブランドより目立たなくなってしまいます。そのため、少量生産に特化してあえて高級品として売り出すことで、農園独自の価値が生まれました。具体的にはこだわっている土づくりについて、検査機関に依頼し、微生物量をしっかりとデータ化させました。そうすることで商品POPや商談資料にも提示できます。「完熟きんかん黄金丸」として商標も取り、よりブランド性を確立させました。

トレードショーには毎回出店しており、果物の小売業者として有名な千疋屋さんとは3度目にしてようやく取引が決まりました。出店したからには契約に持っていくことも重要ですが、毎年出店し続けたことで「金柑農家」「清木場果樹園」として認知していただくことも増えましたし、各場でお会いするご縁が、またどこかのタイミングで繋がることができれば。という長期的な思いでいます。

Q3.地道に商品を売り出し、認知してもらうことが必要なのですね。その後、清木場さんが作る金柑のニーズが高まっていき、金柑の加工の規模拡大をすることになったのですね。

A.金柑を使用した商品をさらに多く作り出すために工場を新しく建てようとしましたが、コストがかかるため断念しました。その直後、廃校になった小学校の再利用を募っており、加工場の規模として合致していると思って応募したところ採用され、本格的に工場として使用することになりました。小学校はもともとは教育の場なので、食品加工に適した環境ではありません。そのため、衛生管理を整備しようと外部から食品衛生に詳しいコンサルタントを招いて指導いただいています。

また、安全性を確保するためにHACCP(ハサップ)に準拠した取り組みをしています。HACCPとは食中毒や異物混入の要因を除去する衛生管理の方法です。今後取得が必要な可能性もあることを見込み、廃校リフォームする時点でそこに基づいた設計になるよう依頼しました。

国内の展示会を通して海外と繋がりを作り、商品を多くの人に知ってもらいたい。

Q4.クロスエイジも清木場さんの経営コンサルトとして関わっていますが、どのような存在ですか?

約20年前に初めてお会いし、金柑の販売代行としてお世話になりました。今はこうして経営に関してサポートしてもらっているのですが、頭の中に思い描いている経営ビジョンを分かりやすく文章や図に表してくれるので、息子や従業員に共有でき、スムーズに経営を回せていると思います。やるべきことが明確になりましたね。

Q5.チャレンジを続けられる清木場さんの今後のビジョンを教えてください。

海外ではそもそも完熟金柑の生産が少ないこともあり、ご縁あって海外市場へ向けた加工品の輸出を拡大させているところです。畑の面積も増やしましたし、夏場の収入源確保に向けて贈答用などとしても手に取ってもらいやすい、さっぱりとした商品の開発も進めています。

20年かけてやっと今の体制が構築されてきましたが、意識していたことは、それぞれの事業フェーズの中で「今後に向けてここを整えておくべき」という構想と、判断の指標を作っておくことです。一言に6次化といっても販売の仕方は多様にありますが、今後も金柑の認知拡大に向け、明確なコンセプトのもと事業を進めていきたいです。​​​​​​​

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清木場さん、今回は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。


(執筆:吉野朱美/編集:柴萌子・ひのりほ)


スター農家クラウド編集部
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スター農家クラウド/Web編集メンバー

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