スター農家ラボ(ブログ)

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中森農産株式会社さま突撃インタビュー

目標から○○した計画づくりは鉄則!
農業法人が着実に成長するために大切なこととは


「農業がもたらす価値を最大化し、人々の食を守り抜く」「日本農業の生産能力を高め、未来永劫継承する」をミッションに掲げる、中森農産株式会社の代表・中森 剛志さん。
世界標準の穀物生産を確立させるため、全国にある水田の維持・活用、主に食品メーカーに販売するBtoBビジネスを展開しています。

今回「日本の農業に一生をかける」という熱い想いをお持ちの中森さんに「農地集積や米の販売における工夫、成長するための秘訣」についてお伺いしました。

目次[非表示]

  1. Q1.法人化したきっかけと売上規模、当時の状況を教えて下さい。
  2. Q2.売上5,000万円を突破したとき、どんなことをしていましたか?
  3. Q3.売上1億円を突破したとき、どんなことをしていましたか?
  4. Q4.売上3億円を突破するために、どんな挑戦をしていますか?
  5. Q5.短期間で農地を集積できたのはなぜですか?
  6. Q6.米の販売・マーケティングはどのようにされているのでしょうか?
  7. Q7.人を雇用する上で、気を付けているポイントはありますか?
  8. Q8.成長できた秘訣は何だと思いますか?
  9. Q9.経営者自身が何でもこなして手一杯になってしまう…一歩先に進むためにやるべきことは?

\ 農業法人がスピード感を持って成長する秘訣をお答えします! /


Q1.法人化したきっかけと売上規模、当時の状況を教えて下さい。

A.日本の農業に貢献するため、一日でも早い法人化を望んでいた。

1年目の売上は900万円。その時は個人事業主でした。
2年目に法人化。法人化した2017年での売上規模は2,800万円ほど。私はもともと非農家ですが、学生時代から「農業を通して社会に貢献したい」という想いがありました。

特に食料安全保障に大きな関心があり、世界基準の大規模主穀作経営を確立させることが就農した目的です。米どころはJAの買取価格が高いため利益が出やすく、比較的担い手不足が起こりにくいと想定されます。そのため、担い手が少なく、統計を見て重要なデータを示していた埼玉県加須市で農業を始めることにしました。

一番のリスクは、新規参入して初期投資したにも関わらず、農地を集積できずに売上を伸ばせないことです。そのリスクを最小化するために、農地を集積できる場所、つまり担い手不足で農地が流動している地域を選びました。

Q2.売上5,000万円を突破したとき、どんなことをしていましたか?

A.規模拡大に合わせて、雇用とチームづくりを開始。

売上5,000万円を達成したのは3年目。雇用を増やし、チームづくりに注力していました。急速に組織の規模が拡大すると、採用や教育などやらなければならないことが多く発生します。そういったさまざまな要素を整えないと売上は立たないので、スピード感を持って成長していく難しさを感じました。

Q3.売上1億円を突破したとき、どんなことをしていましたか?

A.ビジョンやルールの設定などで組織力を強化した。

これまでの延長で、採用に力を入れ組織づくりを続けていました。また、経営者としてビジョンを語ったり、目標を達成するためにルールを設けたりもしていました。人を雇用するための収益を出すには、あらかじめどれだけの粗利益が必要なのかを計算し、そこから逆算して事業計画を作ることが大切です。

Q4.売上3億円を突破するために、どんな挑戦をしていますか?

A.農場を増やし、流動する農地の受け皿をつくる。

品目などによってキーとなるポイントは農家ごとに異なりますが、私たちにとってのキーポイントは農地の量でした。最速で日本の水田農業の10%を担うためには、埼玉県内だけでは不可能なため、関東を中心に農場を増やしていきます。

私たちは、一つでも農場を多く作ることで流動している農地の受け皿を広げようとしています。

どのようなスキームが最も効率的に農地を増やせるかを現在検証しており、最適解が決まったらそこに全ての資源を投入し、一気に農場を増やしていきます。

Q5.短期間で農地を集積できたのはなぜですか?

A.地元農家の5倍に耕作範囲を広げ、集積可能な母数を増やした。

2025年は団塊の世代が後期高齢者になり、これまで以上に農地は流動化します。中森農産は「2025年までに流動する農地の受け皿となる組織を作ること」を目標にしてスタートしました。そのため、事業計画上、最初の5年で大規模な農場を作ることはどうしても達成しなくてはならない目標でした。

埼玉県加須市の農地はおおよそ6,000haありますが、ほとんどの専業米農家さんは半径2kmほどまでの農地しか耕しません。それ以上の範囲に手をつけると生産効率が落ちるためです。その結果、集積可能な農地の量が減少しています。

そこで、私たちは耕作範囲を半径10kmまでに広げて農地を集積可能な母数を増やし、その範囲の農地の情報を集約するためにネットワークを作りました。市外から参入してきた者なので信頼のある地元農家さんと比較して、農地に空きが出たときに連絡が回ってくる確率は低いですが、耕作範囲が広いことによる母数の多さでカバーしています。

Q6.米の販売・マーケティングはどのようにされているのでしょうか?

A.自分たちが作りたいものを売るのではなく、需要があるものを作って売る。

日本国内における米のマーケットは縮小していますが、その内訳に注目すると業務用米の需要は拡大していることが分かります。多くの米農家さんは美味しいお米を作ることに力を入れている一方で、その価格の高さから業務用米として使われることは少なく、このギャップによって業務用米が足りていない状態が発生しています。マーケットインの考えに基づけば、ここにビジネスチャンスが生まれます。美味しいお米が求められているという固定観念にとらわれすぎず、米の新しい可能性に目を向けることも大切です。

Q7.人を雇用する上で、気を付けているポイントはありますか?

A.従業員の人生を考え、逆算して環境を用意すること。

やりがい搾取をしないことです。従業員一人ひとりの人生を考えた上でこちらからできる最善の提案をして、会社の方針や目標に共感してくれる人にはどんどんチャンスを与えます。彼らに良い提案をするために必要な利益や、提案を実行するために必要な農地・機械・作業体系など、すべて逆算して考えるようにしています。最終的に「中森農産で働いてよかった」と思ってもらえたら嬉しいですね。

Q8.成長できた秘訣は何だと思いますか?

A.目標達成に向けて、仮説検証サイクルを回しつづけること。

会社としての目標達成に向け、計画に沿って行動してきたことだと思います。場当たり的に動くのではなく、あらかじめ仮説を立て検証していくことを繰り返してきました。作物は年間で検証できる回数が限られているので、仮説の量が少ないと得られる結果の量も少なくなってしまいます。そのため、同時にいくつも新しい試みに挑戦しています。

Q9.経営者自身が何でもこなして手一杯になってしまう…一歩先に進むためにやるべきことは?

A.失敗を恐れず、覚悟を決めて現場を部下に任せること。

「自分は経営者になる」と決め、現場を離れることです。農業法人のように小さな組織は、経営者が現場を離れるタイミングの判断が難しいと思います。しかし、そこは覚悟を決め、部下に責任範囲をきちんと伝えて、どんどん仕事を振っていくことが大切です。

私の場合は、マネージャー人材が確保できたタイミングで農業生産はほぼ全て任せることを決めました。失敗を通じて、部下には当事者意識が生まれます。目先の損失にとらわれず、経営者の皆さんにはぜひ部下に任せて失敗することを恐れないでもらいたいですね。


農家の家系出身ではないにも関わらず「日本の農業に一生をかける」という想いを胸に埼玉県で農業を始め、現在は売上1億円超えの農業法人を経営されている中森さん。
常に状況を俯瞰し、そして目標から逆算して計画を立てていることが印象的でした。2025年というターニングポイントに向かって着実に前進する姿は、日本の農業の未来を明るく照らしていると言っても過言でないでしょう。

中森さん、貴重なお時間をありがとうございました。

(執筆:橋本恵梨奈/編集:ひのりほ)

スター農家クラウド編集部
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スター農家クラウド/Web編集メンバー

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