スター農家ラボ(ブログ)

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ロックファーム京都株式会社さま突撃インタビュー

農業の常識を覆す!
ロックファーム京都が提案する『かっこいい農家』の魅力とは?


2019年に法人化、今年で7期目に突入された ロックファーム京都株式会社。 
代表の村田翔一さんは、元消防士という異色のキャリアから農家に転身し、九条ねぎを中心に複数の作物を栽培されています。売上を着々と伸ばし、ゆくゆくは海外展開も考えてられているとのこと。若者の就農率が低い中で、彼らにとって魅力溢れる農家像を発信されています。

今回はそんな村田さんが就農後に工夫してきた経営戦略に焦点を当て、ロックファーム京都がどのようにして注目を集め、成長を続けているのか、その魅力に迫りました。

目次[非表示]

  1. Q1.就農のきっかけを教えてください。
  2. Q2.品目選定において意識したことは?
  3. Q3.どのように販路を開拓されてきたのでしょうか?
  4. Q4.組織づくりのために取り組んでいることを教えてください。
  5. Q5.新しく進められている事業の詳細について教えてください。
  6. Q6.クロスエイジはどんな存在ですか?
  7. Q7.今後のビジョンを教えてください。

Q1.就農のきっかけを教えてください。

A.農業というフィールドで本格的に挑戦する覚悟ができた。

元々、祖父の代まで専業・両親が兼業にて農業経営を行う家に生まれました。幼い頃は実家が農家であることにコンプレックスを感じることもありましたが、 当時の同級生や彼らの親御さんがうちで働いたり作業を手伝ってくれていたこともあり、なんだかんだ農業が好きで。消防士として就職した後も、休日は親の作業を手伝っていました。職場仲間も農作業を手伝ってくれることもあり、当時既に売上が5,000万円ほどありました。次第に、農業界で本腰を入れて挑戦してみることに魅力を感じ、知り合いの経営者に相談したり事業計画を練ってみたりなど、下調べを徹底しました。

2017年に次世代農業サミットに参加してみたところ、私のこれまでの農家に対するイメージは大きく変わりました。しっかりと経営思考を持ち、利益のある状態を創出し続けるギラギラした農家さんに出会ったことが後押しとなり、就農を決意しました。当時既に子供もいましたが、農業というフィールドで「経営者」として挑戦していきたい思いは高く、覚悟はありました。奥さんも割と楽観的に賛同してくれたのも大きかったです。

Q2.品目選定において意識したことは?

A.九条ねぎの安定生産を優先しつつ、通年で利益を確保できる品目の導入。

就農当時から九条ねぎは作っていました。販売先は既に決まっていたので、安定周年生産かつ利益を残す動きが優先事項でした。台風で農地が水没することもあるため、山手にも圃場を開拓しリスクヘッジをしています。

品目選定のポイントは2つです。1つめはシェアを取れるか、2つめは差別化や付加価値を行った販売ができるかという点です。 そこに沿って、スイートコーンとイチゴを作りはじめました。スイートコーンに関しては初めはなかなか収益を上げられませんでしたが、冬場にイチゴ狩りに来てくれるお客様に対して、夏場の商品も提案できればという思いや、ネギの裏作としても最適であったため、欠かせない品目でした。

Q3.どのように販路を開拓されてきたのでしょうか?

A.出会いの場を探し、アプローチし、じっくりと関係性を深める。 

営業は彼女を作る行動と似ていると感じます(笑)。まずはどこの地域、どんな展示会に出席すればどんな方に出会えるのかリサーチし、出会える場所に赴くことが第一歩です。ChatGPTを使えばスーパーさんの電話番号の一覧リストが取得できたりもするので、ひたすら電話し、商談の機会を得られるようアプローチの数をこなすことも重要です。
とはいえ人間同士の信頼関係を築くことが何より一番ですから、一緒に仕事したいと思ってもらえるよう、じっくりと関係性を深める努力をしています。キャラクターを気に入っていただけるよう、 地道に泥臭く行動を重ね、遠方のお客さんであっても何度も足を運びました。最近においては、私自身は「戦略」を練り、キャラクターを活かしてお客さんの懐に入る「戦術」は若手の営業担当に任せるという役割の変化は出てきたと思います。

Q4.組織づくりのために取り組んでいることを教えてください。

A.まずは人材を選べる状態を作る、そして個人の考えや目標に向かって主体的に描くことができる環境づくりを。

物事を進める際の前提として、良い人材ではないと逆境の中でチャンスを作ること、超えることができないと考えています。ですから、業界水準以上の人材を集めるための行動は意識してきました。
農業界において採用活動をスムーズ進めることは難しいと感じていました。それでも、例えば自分が農業法人に就職するとなった際、少しでも惹かれる要素のある「ここなら良いかも」と興味を持ってもらえるような職場を作るためにできることを考えました。
当時掲載していた求職サイトの担当の方に「日本で一番求人応募が多い農業法人の採用ページの構成を徹底的に真似てください」と依頼しました(笑)(もちろん会社のビジョンやメッセージは私の思いをしっかり載せて)
あとは、農業に対する固定的なイメージの払拭も必要と感じたので、イケているかっこよさ、雰囲気の良い社風を感じえてもらえるよう、ロゴやHPの作成などはこだわりました。当時会社組織としてはまだまだでしたが、そこはすぐに整えられる部分だったので。実際にそこからたくさんの応募をいただきました。やはり入社時点である程度の選別をかけ、人材を選べる状態を作ることはとても重要だと思います。

具体的に面接を進めるにあたっては、応募者一人一人とじっくりと向き合いながら個人のビジョンや人生観について話してもらいました。私からも、それぞれに渡すことにできる給料の額を提示し擦り合わせつつ、「最短3年で結果を出すために、各々に任せる責任・裁量は大きいだろうが力を貸してほしい、ついてきてほしい。」という思いも共有しました。朝の6時から会社に来てもらって、ひたすら語り合ったこともあります(笑)

当初入社した社員3名とも、農業は未経験でしたが共に走ってきました。私自身、消防という役割や責任が明確でチームワークが重要な組織の中で働いてきたこともあり、未経験の社員に対してもしっかり役割を与え、信頼し助け合うという感覚が前提として大きかったです。なので任せることに対して大きな抵抗はなく、私は営業活動に集中することができていました。

もちろんリスクもありましたが、マニュアル通りのパフォーマンスができることだけが正解ではないので、試行錯誤しながらそれぞれの強み・らしさを引き出せるような要点の伝え方、進捗管理は徹底しました。
ただ、文鎮組織になってしまっていた部分もあり、社員が増えてくると情報の連携やコミュニケーションの乖離で苦労したこともありました。社長が各社員に対して指示出しをしていたところに管理職を挟ませ、コミュニケーションの導線を整えることも学びました。管理職の存在は非常に大切だと感じています。

Q5.新しく進められている事業の詳細について教えてください。

A.農業界の底上げにつなげる事業を複数推進。

弊社は九条ねぎの生産としては後発ですが、近隣にいるねぎ農家をライバルとして敵対視するのではなく、協同で事業を進めることができないかというアイデアから、「九条ねぎの販売に特化した(株)京葱SAMURAI」を2017年に設立しました。農家自身がしっかりと価格交渉権を持つことができるよう、質・量ともに安定した出荷体制を作り、販路拡大を進めることが目的です。

共同事業といっても全国でいろいろなパターンが存在するかと思いますが、一番重要なのは、メンバーの温度感や進みたい方向性が一致しているかどうかであると思います。その事業で儲けたいわけではなく、地域農家の連携が結果的に農業界の底上げにつながってほしいという思いが一番です。

就労継続支援事業としてNPO法人を立ち上げた経緯としては、元々就労支援に携わっていた知り合いの方を通じて、ネギの出荷調整作業を依頼させてもらっていたことがきっかけでした。年間して安定した仕事がある農業だからこそ、自社で就労支援の立ち上げを行った場合の成功の勝ち筋が見えていたという部分もあります。事業の拡大とともに、より多様な環境や属性に属する方々が、その特性を活かしながら活躍できる環境の提供ができればと思っています。

Q6.クロスエイジはどんな存在ですか?

A.ロックファーム京都をブラッシュアップしてくれる存在。

経営やマーケティングの勉強はゼロから始めました。特に他社の経営者の方とお話しさせていただく中で知識をつけながら、自分の勘や直感で信じて動いてきました。ただ、細かい部分を整えたり、財務的な面でしっかりとした把握と改善行動をとるには専門家に頼る必要性を感じていました。

クロスエイジさんにはセミナーへの参加をきっかけにお世話になることに。財務面や中長期の経営計画を作成するにあたって、判断を進めるための情報をもらいながら、壁打ち相手としてアドバイスをいただいています。藤野社長はノウハウや経験が豊富なので頼りになります。

Q7.今後のビジョンを教えてください。

A.挑戦し続ける革新的な農家でありたい。

九条ねぎ3億円、イチゴ1億円、スイートコーン1億円といったフェーズは大方見えており、あとは社員それぞれの成長に期待している部分でもあります。今後は自社の持っているスキルを活かして京都府外でも生産・販売拠点を広げていきたいと思ています。販売会社を持っている点は、商品の出口の拡大・整備という点においても強みかと思います。

海外進出も夢ですが、自分自身が乗り込んで1から生産して販売するのは現実的ではありません。家族もいるので日本から離れられないのが現状です。だからこそ、向こうでも活躍できる人材確保・人材育成に努めたいです。

何より、農業に対してのイメージが少しずつ変わっていき、若者の職業の選択肢になってほしい思いが大きいです。だからこそ代表として、私自身の役割は「事業の大筋を決め、スケールさせるために人・モノ・お金をしっかり集めてくること」と考えています。
困難に直面すると誰でもできない理由を並べがちです。「やることを前提としたとき、何ができるか」という逆算思考の重要性は社員にもよく伝えています。

日本の食の基盤を支えている「農業」という職の尊さを守り続けられるよう、業界の常識を良い方向へ導く支えができればと思います。


九条ねぎやスイートコーンの生産において、ただ収益を追求するだけでなく、リスク分散を図りながら地域農家との連携も大切にしている村田さん。 農業に対する情熱と挑戦心が随所に感じられるインタビューでした。このようなケースはこれからの農業経営の模範となっていくのではないでしょうか。

村田さん、今回は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。


(執筆:柴萌子/編集:ひのりほ)

スター農家クラウド編集部
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スター農家クラウド/Web編集メンバー

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