自分自身が広告塔！
型にはまらない独自の経営スタイル。

江戸時代末期から6代にわたって、和歌山県有田川町で柑橘を栽培・販売する、みかんのみっちゃん農園さま。

代表の小澤光範さんは、「人とのつながりを大切にし、みかんで『笑顔・幸せ・感謝・未来』を創造し世界中に有田みかんを届ける！」という思いをもって、環境循環型農業に取り組み、みかんの魅力を全力で発信する非公認ゆるキャラ「みかんのみっちゃん」としても活動をされています。

今回は、小澤さんに「人と違ったやり方、型にはまらない独自の経営スタイル・マインド」についてお話を伺いました。

Q1.就農のきっかけを教えてください。

A.ある農家さんと出会い、農業への意識が変わった。

農業を継ぐつもりは全くありませんでした。実家が農家だからこそ知っていたマイナス面、苦労、3K的要素も相まって、農家であることが嫌でした。特に思春期の頃は本能的に実家が農家であることを隠していたかもしれません。

大学では、農学部で農業生産について学んでいました。実家が農家な人は意外と少なく、生徒160人中5～6人でした。実家が「みかん農家」であることの話題性をプラスに取ってもらえる機会が増えて、自分の環境が貴重なんだなと感じました。

卒業後は大阪の食品卸会社に就職して、農産物の買い付けを担当し、全国を飛び回る日々の中で、農繁期の週末だけはお金の工面を目的として実家を手伝っていました。

その中で、ある産地で出会った農家さんに「これから農業は革新的な時代に向かう」という言葉に惹かれたことが就農のきっかけにはなります。

とはいえ、明確な目標や覚悟を持って実家に就農した訳ではないんです。

幼い頃から「周囲とは一味違うこと・ワクワクすること・たくさんの人がいる場に出向き、つながりを持つこと」が好きだったんです。
どこかで実家の「みかん農家」を継ぐことが、自分の「ワクワクすること・興味のあること」を体現できる一手段として、可能性を感じたのだと思います。
そういう意味では就農のきっかけは直感ですね（笑）

Q2.SNSでどんな取り組みをされていますか？

A.SNS×農業の可能性は無限大！

元から発信活動をしていきたいという気持ちがあって、SNSが普及する前から、「みかんのみっちゃんの日常」を発信してきました。やりがいも生まれますし、どういう人に食べてもらいたいか、お店に届けたいかを発信することで販路開拓にもつながると考えています。

僕のみかんを食べたい！と思ってくれている人へ直接商品を届けたいと思っていて、当時の出荷先とは別に、DMでやり取りをさせてもらって、2014年～2022年くらいまでは個別での発送対応もさせてもらっていました。

最初の頃は、個別で送るシステムや決まった型がなかったので、スーパーなどでリサイクル段ボールをもらって、箱詰めして発送していました。少しでもコストを抑えながら、食べたい！と思ってくれている人に届けたいと思っていました。個別でやり取りをしていたからこそ、量などを柔軟に対応することができました！その時期は、段ボールに詳しくなりましたね！あの段ボールは何キロくらい入って、強度がどれくらいあるかとか(笑)

ありがたいことにリピーターになってくれる人も増えて、個別での対応が難しくなってきて、妻からECサイトにすれば？って言われたのと、お客さんからもクレカ決済できるようにしてほしいと要望をもらったことで、2022年にECサイトを立ち上げました。

これからもSNSでの発信やお客さんとの交流は続けていきたいと思っています。

収穫時期にはSNSを通じて援農者の募集を行ったり、SNSで発信するようになってから、収穫体験とか農業体験、求人募集に対しての応募数もかなり増えましたね。

Q3.自社商品の差別化／魅せ方で意識していることはありますか？

A.人と違うかどうか、自分がダメだと思ったらやらない。

感覚派なことが前提にはなりますが、「人とは違うことをしたい」という姿勢と、「自分の中にある違和感は無視しない」という2軸を表裏一体で意識しています。
 
僕も仕入れ販売をすることはありますが、「みかんのみっちゃんのみかん」と「仕入れさせもらったみかん」はしっかりと区別して届けます。人との付き合いにおいては、短所を無理に隠したり飾ったりせず、「正直な誠実さ」を大切にしています。

Q4.「みかんのみっちゃん」のキャラクターはどう作られたのですか？

A.イベントで出会った仲間やSNSのフォロワーの方々が作り上げてくれた！

イベントへ参加するときに、【良かったら食べて】という気持ちで、規格外のみかんを毎回持って行ってました。そうしたら「みかんの人」って呼ばれるようになって、あだ名の「みっちゃん」とくっついて「みかんのみっちゃん」というワードが自然と出来上がって、農園名にもなりました。

自分でこうしよう！と思ったわけではなく、周りの人が作り上げてくれて、自然とそうなったっていう感覚ですね。会話や説明、求められたことに対して、普段と変わらずありのままの自分で応えることが自分の良さだと思っていて、裏表なく話すことが一つの型になっていると思います。潜在的に自分の中で、求められたことに応えたいという自分がいるような気もするんですけど、自分自身のありのままを出す方が自然とうまくいっていると思います。

外見だと、オレンジ色の服を見ると本能的にすぐ買っちゃいますね(笑)

Q5.普段から人との会話で意識していることはありますか？

A.別角度の視点を持つこと。

イエス・ノーで終わるような会話でも、相手の悩みや課題を考えて、別角度の視点をもって、会話をどんどん膨らませています。でもそれを意識的にしているわけではなくて、無意識でしているんだと思います。

例えば、資材高騰でみかんの単価を上げざるを得ない時とかって、このままストレートに言う人もいると思うんですけど、そんな状況の時って、みんな苦労していると思うんです。

ただ単価を上げてほしいと話すのではなく、単価を上げるには理由付けが必要だと思うんです。相手との会話の中で、今1番売れている店舗だったり、惣菜や野菜、果物だと何が1番売れているのか、売れているものの価格帯はどれくらいなのか。そういったことを聞くことで、僕の会社で持っているものであれば、こういう売り方や商品はどうか？とか、自分が今構想しているものを交えて、何か店舗でできないかとか、会話の中でアイデアを出し続けます。

その会話が相手に全部は当てはまらないかもしれないけど、相手の悩みや課題にどっかしら引っかかるんですよね。どんどん膨らませることによって、ああしよう、こうしようといろいろ提案することができます。価格交渉をしようと思って会話はしてないけど、自然と単価は付いてきてますね。

会話の仕方や着地って、十人十色で、相手が変われば全部が変わると思うんですよね。会話に正解もないし、だからこそ僕は人との会話が楽しいです！

Q6.クロスエイジはどんな存在ですか？

A.最初はちょっと怪しんでました(笑)

最初はSNS上でフォロー・挨拶をもらったのがきっかけで…正直ちょっと怪しんでいました（笑）
そこから自分でクロスエイジを調べたら共通の知り合いの農家さんもいたので、セミナーに参加しました。参加している農家さんを見て、これから伸ばしていきたい人たちなんだなと思って、まずは自分もやってみようという勢いで！

藤野さんたちとお話すると毎回気づきをもらえますね。例えば、自分は脳内で描いていることを前提として、いろいろな考えや指示出しを行っていますが、どのようなポイントをかいつまんで図式化して、他のスタッフに共有したり、思考の整理に使えるのか…等。かなり使わせてもらってます。

Q7.今後のビジョンを教えてください。

A.みかんで世界をもっと面白く！人と違うことを成し遂げ、挑戦し続ける。

みかんで育った人間だからこそ分かる・感じる、有田みかんのポテンシャルや可能性をもっと世界に広めていきたいです。 みかんの可能性を高めていく人たちで一つのコミュニティができればと思っています。関わる人が増えれば、考えやアイデアが掛け合わさって新しい物が生まれると思うんです。そんな動きを増やしていきたいですね。

僕一人で生きているわけではなく、周りの人や会ってお話した人、いろんなイベントに参加して交流した人たち、みかんを買ってくれるお客さんがいてくれるからこそ、今の自分がいると思っていて、常に感謝を忘れずに、恩返しできる機会も作りたいなって思っています。

HPにも載せているんですが、僕たちのみかんに出会って頂いた『ご縁』を通して広がる美味しい笑顔の輪。それが大きくなって、やがて世界が幸せで満たされますように。 みかんを通しておいしく楽しいつながりを創っていきたいですね！

小澤さん、貴重なお話をありがとうございました。