スター農家ラボ(ブログ)

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第6回 経営計画を作る意味とは?

こんにちは!農業総合プロデューサーの藤野です。
私たちクロスエイジは、農家が自立して稼ぐことができる『スター農家』を創出し、農業を魅力ある産業にすべく、販路開拓・商品企画・経営支援の3つの側面からプロデュースを行っています!

第6回目となる今回の「スター農家理論」は、【経営計画を作る意味】編です。
今回は3つの理論をお伝えします。

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目次[非表示]

  1. 1.スター農家を目指すには、「戦略=中期経営計画」理論
  2. 2.組織作りの第一歩、「PDCAのPが大事」
  3. 3.中期経営計画は「情熱を持った個人が考えろ」理論

スター農家を目指すには、「戦略=中期経営計画」理論

「戦略」というと、カッコいいですよね? 「戦略」という言葉は、「戦いを略する」と書きます。目的・目標に対して、余計な回り道をせずに最短距離でたどりつくことです。
経営の分野では、「全社戦略」や「事業戦略」、「デジタル化戦略」「成長戦略」など、さまざまな使われ方があります。

売上5,000万・1億・3億を稼ぐスター農家を目指す場合の「戦略」とは「経営戦略」、つまり「中期経営計画」をきちんと立てることです。
この場合の中期経営計画とは、この先3〜5年のスパンで将来のあり方を策定することです。
実際には年数より売上5,000万、1億…どの壁を突破するまでの計画かを考え、下記のステップに進みます。

①過去の決算内容を把握し、現状を分析する
決算書を時系列で比較し、経営がどのような経緯を経てきたのか把握する。次に役員報酬や事務所の家賃などの固定費と、売上増加と連動して増えていく種苗費、肥料費、農薬費、燃料費、選果に関わる外注加工費などの変動費の割合を分析する。この結果、どれくらいの売上を上げれば、固定費が賄える=利益を出すことができるかが見えてきます。

②既存顧客への販売実績を基に、今後の販売計画や新規顧客の獲得計画を立てる
販売先別に過去の売上実績を整理し、今後の各取引先の伸び率を想定して、3~5年先の売上計画を立てます。

③「SWOT分析」で経営の強み・弱み、商品を取り巻く環境を分析し、具体的なアクション項目を決める


SWOTとは、経営の「Strength(強み)」と「Weakness(弱み)」に加えて、商品を取り巻く「Opportunity(機会)」と「Threat(脅威)」の4つの頭文字を組み合わせた経営用語です。

販売力や営業力、栽培技術、品質、売れ行きなど、自分の農園の強みや弱みを洗い出すと同時に、自分のところで栽培している品目や商品を取り巻く市場環境、競合他社などの外部要因について情報分析を行い、作付け品目の割合や規模を決めます。

④人員計画を立てる
売上計画や戦略の方向性を踏まえて、技能実習生を増やすのか、リーダークラスの日本人社員かパートや外注加工のアルバイトを雇うのか、今後の人員計画を立てます。

⑤作成した「過去の決算書の推移分析」を基に、3〜5年後の中期経営計画を策定する

上記の①~⑤までの基本的な項目に加え、下記の段階別の要素を加えていきます。
・売上5,000万円までは、品目の絞り込みと年間の作業の平準化の作戦を考える
・売上1億円までは、現場の労働力の確保と販路の分散を考える
・売上3億円までは、6次化への取り組みでキロあたりの単価アップを考える

未来を考えることは経営者の仕事です!経営者は3~5年の中長期で考え、幹部は年度、現場スタッフは月次や日々で考えています。立場によって時間軸が違うからこそ、経営者は未来を考えましょう。
農民、農家ではなく農業経営者であれば、中期経営計画を持って戦略的になりましょう。

組織作りの第一歩、「PDCAのPが大事」

組織作りができている=組織としてのPDCAがちゃんと回っているということです。
PDCAが回る状態を作るために大事なことは「正しい順番」です。
皆さん、下記をどの順番でやるのが正解か分かりますか?(※基本的な栽培技術が身に付き、売上3,000万円を超えていることを前提としています。)

①スマート農業系のアプリ導入(現場入力、経営データ見える化)
②会議の運営ルール
③栽培マニュアルの作成
④評価制度の作成
⑤中期経営計画の作成
⑥人の採用
⑦銀行借り入れ
⑧組織図の整備(役割分担の整理)
⑨社内ルールの作成(挨拶や掃除、勤怠、報告などの基本的なこと)
⑩経営者として見たいデータを決める、言語化する

正解は「⑤→⑧→⑨→⑩→①→②→④」です。③⑥⑦は、組織運営のPDCAを回すことと直接的には関係ありません。会議などで課題として出てきたら着手します。

中期経営計画を作り、作った戦略がうまくいっているかどうかを確かめるためには、スマート農業系のアプリを導入し、その進捗を確認します。

でもアプリを入れる前に、そもそも見たいデータが決まっていないと意味がありません。また、アプリを導入しても社内に入力をきちんと行うための組織習慣ができていないと継続されません。組織習慣を作るために必要なのは上司・部下を明確にする組織図作りと、基本ルールの徹底です。

計画があり、実行力のある組織があり、見たいデータが見えるスマート農業の仕組みがあれば、定期的に振り返りを行い、活動を修正していきます。そのために週次や月次で会議を行います。そして、四半期や半年の達成度合いに応じてスタッフを評価し、給与を上げていくことで人も組織も成長していきます。

組織作りで大事なのは順番です、そしてその第一歩は必ず中期経営計画です。

中期経営計画は「情熱を持った個人が考えろ」理論

組織作りのPDCAの中で、最も個人の力量に依存するのが「Plan」の経営戦略の策定です。

「Do」:実行力のある組織作り、組織独自の習慣を徹底するためのルールや評価制度を作成する際は、個人の力量に依存しなくても、アドバイスやサポートしてくれる外部組織があります。

「Check」:スマート農業、デジタル農業的な取り組みについても、システム選びなどで難しさはありますが、勉強できる場所やサポートしてくれる外部組織があります。

「Action」:週次会議や月次会議の運用、課題に対するルールやマニュアル作りなどを通じて同じように対応できます。

「Plan」だけは、計画作りに対する情熱を持った個人が考えるしかありません。自分だけでは難しい場合、情熱を持った協力者に頼るしかありません。依頼する会社の規模は関係なく、あなたの組織の計画作りを担当してくれる人の経験や集中力、情熱が必要です。

中期経営計画は、現状の延長ではなく、次の壁を超えるための未来の設計図を作る「ゼロ(0)」から「イチ(1)」を生み出す仕事です。
そのためにも、担当者は、設計図作りに対する情熱を持っている人や企業にお願いしてください。「正しい依頼先」を選ぶことが重要です。




以上で、第6回は終了です。

集中豪雨やパンデミックのようなコントロールできない外部要因はあります。でも、事前に準備し、対応していくことはできます。また、PDCAが回る組織であればダメージからの回復が早いです。組織作り、中期経営計画作り、どちらも経営者自身が手掛ける仕事です。がんばりましょう!


藤野 直人
藤野 直人
株式会社クロスエイジ代表取締役/農業総合プロデューサー

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