スター農家ラボ(ブログ)

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毎月最短5分からできる!眠ったデータを掘り起こせ【農協編】

こんにちは。スター農家クラウド開発責任者の松永です。

前回のブログ以降、私含め家族全員かかってしまい8月はほぼ家で過ごしました。現在は後遺症もなく家族全員元気です。コロナの保険金申請をしているので、何にお金を使おうか迷っています(笑)

さて本題です。
スター農家クラウドの売上データ活用についての第2回目のテーマは「農協の販売データの利活用」です。背景は、農協に出荷した販売データが意外と眠った状態になっているケースが多いためです。この現状分析は、後ほどご紹介するとして、本ブログは以下のような方を対象者と想定しています。

①農協と市場外出荷の両方をしている方
②複数品目・品種の販売をしている方
③農協販売データの活用事例を知りたい方
④農協の販売データをためる作業をもっと楽にしたい方

目次[非表示]

  1. 1.農協の販売データをためる上での現状の問題点
  2. 2.眠ったデータを掘り起こした事例
  3. 3.蓄積した農協データの活用方法
  4. 4.さいごに

農協の販売データをためる上での現状の問題点

ここからは、「農協の販売データをためる上での現状」についてご紹介します。
松永の私見なので、他にこんなパターンがあると思った方はフィードバックください。

■農協の販売データ化について
①販売代金精算書受領→その後、自分でエクセル入力
②販売代金精算書のデータを、データで受領→自分で集計
③農協職員が生産者代理で販売データを農業会計へ入力
④データ入力せず、紙の販売代金精算書をクリアファイルで保管

現状1番多いのが、「④農協から送られてくる販売代金精算書をクリアファイルに保管」だと私は思います。いわゆる「農協データが眠った状態」になっています。

農協に出荷している、かつ「農協データが眠った状態」になっている生産者はだいたい以下の状態になっています。

①農協出荷分は入金金額ベースでしか金額を把握していない。販売手数料などを差し引かれる前の販売単価が分からない。
②販売代金精算書が眠った状態になっているので、決算時にしか売上が把握できていない。
③どの品目・階級がどれくらい販売できたかなどの細かい売上の把握ができていない。

次は実際に「農協データが眠った状態」から活用できるまでの事例をご紹介します。
その前に「農協データが眠った状態」でも良いパターンもあります。
それは単一品目の生産かつ農協のみに出荷する生産者です。この場合は、単一品目・単一出荷先なので運用がシンプルです。農協が部会員向けに販売分析する営農サポートがあったりするので、農協の機能をフル活用することをオススメします!

眠ったデータを掘り起こした事例

次にスター農家クラウドのデータ活用支援における眠った農協データの掘り起こし実例をご紹介します。
ざっくり言うと掘り起こし実例は、2パターンです。
①農協の販売データをデータでもらってプログラム処理する
②販売代金精算書を効率的に入力する運用体制を作る

①農協の販売データをデータでもらってプログラム処理する
私たちが農協出荷している生産者のデータ化を支援するときに、まず依頼することは「農協担当者に前月の販売データを翌月15日までにデータでもらえるか確認する」です。
理由は、農協の出荷データは農協が販売精算通知書を作成するために記録蓄積されているからです。今のところ感覚値ベースで、3割ぐらいの農協が生産者のデータ送付依頼に対応してくれています。農協データを活用したい方はダメもとで聞いてみてください!

農協の販売データをスター農家クラウドに蓄積するフローは、以下のようなフローでやっています。

1.農協からデータ取得(エクセルまたはcsv形式)
2.Googleスプレッドシートで変換処理
3.スター農家クラウドへ自動データ登録

上記フローを運用するメリットは、入力の手間がかからず農協データを利活用する体制ができることです。だいたいの生産者がレクチャー期間3か月あれば、毎月1回5分程度で農協データのデータ化処理が終わります。

②販売代金精算書を効率的に入力する運用体制を作る
残念ながら農協に販売データをデータでもらえないときは、地道に入力するしかありません...。
※紙媒体のデータをデータ化するAI-OCRの活用は、クロスエイジではリサーチ段階。

②のパターンの支援フローは以下の通りです。

1.生産者での運用体制作り(入力期限、入力担当者、入力項目)
2.スター農家クラウドの操作レクチャー
3.期限内での入力完了のフォロー

このパターンは生産者自身でデータ入力の運用体制ができるまでに、3~5か月かかるイメージです。この期間は月2回30分のミーティングを最大5か月繰り返します。
こちらの運用パターンで推奨しているのが専任の入力担当者を決めて頂くことです。
入力作業は1回あたり5分~10分と地味にかかります。これまでの約3年間の支援実績でいうと、入力担当者を決めて行う方が運用定着がスムーズです。理由は経営者が入力すると、他業務で忙しくなった場合に入力作業の優先順位が下がるためです。

蓄積した農協データの活用方法

スター農家クラウドに農協の出荷データがたまる体制作りができたら次は活用フェーズです。
現在スター農家クラウドでは、ダッシュボード・レポートを活用してデータを可視化することができます。

■データ可視化の例
a)取引先の売上金額及び構成比の推移
b)取引先別の粗利金額
c)商品規格別の粗利金額
d)販売区分別(農協、市場外など)の構成比(金額ベース、出荷重量ベース)
e)農協出荷の販売単価及び当階級の推移     etc

また上記のデータを可視化しながら、以下のようなデータ活用(意思決定)を行っていきます。
①取引先の構成比変更
→粗利ベースで見たときに農協に出した方が利益率は高いのか?
→ターゲットにしている取引先の伸び率は順調か?
→想定外に縮小している取引先があった場合、テコ入れは必要か?

②利益率が低い商品規格の見直し
→単価交渉、コスト見直し、商品改廃
 
③利益率が低い取引先の見直し
→単価アップ交渉、取引継続の判断

さいごに

今回は農協の出荷データのデータ利活用について以下の3点をご紹介しました。
①現状農協データをためる上での問題点、
②眠っている農協データを掘り起こし蓄積する事例
③データ可視化後のデータ利活用例

近年では販売単価は維持のまま生産コストのみ上昇傾向で生産者側の利益だけが減っている状況です。これまで以上に販売施策(単価アップ、重点顧客の選定、商品の改廃)が農業経営における重要度が増しています。そのため、私は定期的(最低月1回)に事実ベースで数字を観察していくことが、重要なアクションの1つだと思っています。

実は、私はクロスエイジで農産流通事業の責任者も兼任しています。今年のテーマの1つに利益率の改善があります。顧客への販売単価交渉、利益率の低い商品の見直し等を毎月行っています。地味かつタフな交渉も伴う作業ですが毎月50万~100万の粗利益に影響するので、責任者が行うべき優先業務として行っています。
販売施策のアクションを行っていく上で、まず初めの第1歩が事実ベースで数字を把握する体制作りです。農協データが眠った状態になっている方は、ぜひ「データの掘り起こし」にチャレンジしてください!

次回のテーマは、売上データをためる時にブラックボックスになりやすい「直売所・市場編」です。「直売所・市場」のデータ蓄積の問題点や体制作りの事例をご紹介したいと思います。お楽しみに!

松永 寿朗
松永 寿朗
スター農家クラウド開発責任者/農業総合プロデューサー

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