スター農家ラボ(ブログ)

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第7回 労働力不足!外国人技能実習生制度について

こんにちは!農業総合プロデューサーの藤野です。
私たちクロスエイジは、農家が自立して稼ぐことができる『スター農家』を創出し、農業を魅力ある産業にすべく、販路開拓・商品企画・経営支援の3つの側面からプロデュースを行っています!

第7回目となる今回の「スター農家理論」は、【外国人技能実習生制度】編です。
今回は3つの理論をお伝えします。

目次[非表示]

  1. 1.安定した戦力確保で現場力アップ、「1億円超えるには技能実習生」理論
  2. 2.監理団体を見極めるためには「失踪者の数を聞け」理論
  3. 3.スター農家の国際貢献とは?「現地生産・現地流通」理論

安定した戦力確保で現場力アップ、「1億円超えるには技能実習生」理論

年間売上1億円を超えているスター農家の多くは、外国人技能実習制度を活用し、中国人やフィリピン人、ベトナム人などと一緒に働いています。

日本で働ける期間は基本3年間。毎年3人受け入れれば、3年間で9人になり、4年目には最初の年に入国した人が帰国していきます。

人件費という点から見ると、最低賃金以上の給与、後述の監理団体に支払う費用、居住スペースの確保(家賃をとってよい)などがかかりますので、「安いから」という理由で雇用できるものではありません。技能実習生を受け入れるメリットは、一言で言うと「安定した」戦力確保という点だと思います。

受け入れるタイミングは、いつが良いでしょうか?
私は、5,000万円を超えたタイミングだと考えています。
売上3,000万円に達するまでは家族経営とし、その後、パートや縁故採用などで労働力を確保しながら繁忙期・農閑期関係なく、年間を通じてできる仕事をつくって、売上5,000万円を目指します。

5,000万円を超えたタイミングで、生産や野菜の調整作業に技能実習生を配置することで、一気に売上1億円超えに向かう流れが、ひとつの答えだと考えています。

監理団体を見極めるためには「失踪者の数を聞け」理論

技能実習生を受け入れる場合にどんな機関、団体と付き合えばいいのでしょうか?近所の農家が使っているとか、地元企業の経営者から紹介される方法もアリですが、あらかじめ最低限の知識は必要です。

まず、農家との窓口は「監理団体」です。技能実習生の募集、受け入れまでの手続きや面接を行ったり、技能実習が適切に行われているかどうかを定期的にチェック、指導する非営利組織です。「〇〇協同組合」という名称で事業を行っていることが多く、単に「組合」と言ったりもします。日本国内に外国人を受け入れているので「受け入れ機関」とも呼ばれています。

反対に、監理団体に外国人を送り出しているのが「送り出し機関」です。ベトナムやフィリピンなど現地にあります。

大事なことは、とにかく良い監理団体を見つけることです。監理団体と派遣先の農家(農業法人)が何かトラブルを起こしたら、他の派遣先もとばっちりを食らうことになりますので、きちんと見極めましょう。良い監理団体(受け入れ機関)かどうか、見極めるポイントは下記の7つです。

①失踪者がいない、少ない
②現地の優良な送り出し機関とパイプがある(悪質ブローカーを排除)
③日本に入国後の研修プログラム(監理団体が担当)
④費用の透明性(各費用の見積もりをきちんと出してくれる)
⑤監理団体と企業の距離が適切であるか?(なあなあでない)
⑥問題が起きた場合、すぐ対応できる距離感か?(目安は3時間以内)
⑦通訳者がいる(例:日本語とベトナム語を話せるベトナム人が職員としている)

もし、技能実習生が失踪したら、監理団体は外国人技能実習機構(OTIT)に届け出なければなりません。出入国在留管理庁によると2019年(令和元年)時点で、日本に在留したり、新規入国した技能実習生の数は、51万7,232人にのぼり、失踪者数は全体の1.7%にあたる8,796人。過去5年間の調査では、毎年、技能実習生の1.7〜2.1%が賃金の不払いや、経済的な事情などで、失踪していることがわかります。

失踪者が出ると、送り出し機関、監理団体、受け入れ側の農家に対して、新たな受け入れの停止や刑事告発などの対策を行なっていますが、三者が協力し合いながら、お互いにチェックしていくことで、制度をより良いものにしていかなければなりません。

まずは、監理団体を選ぶ基準を持ち、信頼できるパートナーを見つけましょう。

スター農家の国際貢献とは?「現地生産・現地流通」理論

皆さんは、日本の第一次産業の地位が高いと思いますか?

なぜ、突然こんな話をするかというと、技能実習生の母国のベトナムやフィリピン、インドネシアでは、第一次産業の地位があまり高くありません。間違いなく日本より低いです。要するに、日本の農業法人で栽培や収穫、選果・選別、出荷、販売、経営を学んでも母国でそれを活かせる機会は少ないのです。彼らは日本に「出稼ぎ」に来ているだけなのです。

日本は現在、本来の意味での移民政策を行なっていません。表向きは外国人労働者を確保し、労働力を受け入れるという政策です。外国人技能実習制度という名称はついているものの、移民と外国人労働者の間に一線を引いた「労働力確保」が目的です。

ただ、私は「出稼ぎがダメ」「労働力確保の政策はけしからん」などと言いたいわけではありません。
我々が考えるべきことは、本当に夢やビジョンを抱いて、母国に帰った後も「一次産業に従事したい、活性化に貢献したい」というやる気がある実習生がいたら、その人たちと一緒に日本農業の海外進出を進めていきましょうということです!

日本産農産物の海外輸出にも力を入れるべきですが、それと同時に、現地で生産して、その国の市場に出荷したり、これから成長が見込まれるアジアやアフリカ各国に進出することも視野に入れるべきだと思います。

国内のある農業生産法人は2010年代、インドで日本品種のイチゴのハウス栽培に挑戦するために進出し、高級ホテルなどで人気を博しました。現在は現地の企業に生産が移っていますが、日本式の栽培技術の海外普及に布石を打ちました。コロナ禍の影響で、海外での生産や輸出事業は厳しい現状ですが、ベトナムやカンボジアでも日本式の野菜栽培の動きが進んでいます。

外国人技能実習制度の基本的な理念は、開発途上地域などの経済発展を担う「人づくり」への貢献です。私は、スターと言われる稼げる農家がたくさん生まれることで、日本国内における第一次産業の地位がアップするとともに、アジア・アフリカ地域でも、技能実習生と共に農業のプロデュースをできる未来が訪れることを強く願っています。




以上で、第7回は終了です。

3つ目は理論というよりも、私の理想を語りましたが、要は技能実習制度の原点に立ち返ろうという話です。次回は「組織習慣の再点検」についてお伝えします。お楽しみに!

藤野 直人
藤野 直人
株式会社クロスエイジ代表取締役/農業総合プロデューサー

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