第8回 農家が成長を続けるには?長年の習慣を見直せ!
こんにちは!農業総合プロデューサーの藤野です。
私たちクロスエイジは、農家が自立して稼ぐことができる『スター農家』を創出し、農業を魅力ある産業にすべく、販路開拓・商品企画・経営支援の3つの側面からプロデュースを行っています!
第8回目となる今回の「スター農家理論」は、【組織の構造と評価制度見直そう】編です。
今回は3つの理論をお伝えします……の前に、今回のお話しは「意識構造学(識学)」をベースにしている為、まず「意識構造学」についてお伝えします。
「意識構造学」とは、組織の生産性が向上しないのは、社長や社員がそれぞれ持っている認識のズレが、組織運営に問題をもたらしているからだ、ということを前提にしている考え方です。
この意識のズレ(=誤解・錯覚)を起こさず、正しい認識に変えるために何をすればいいのかを学習し、実践することで組織の問題が解決できるとして、企業だけでなく、スポーツチームや家庭、非営利団体などさまざまな組織で取り入れられています。記事の最後に参考書籍を紹介していますので、興味を持たれた方は手に取ってみてくださいね。
組織論には、色々なパターンや流派があり、同じような組織論を唱えていても、社長のキャラクターによって、目指している組織の形は違ってきます。
社長一人で全部やる、ピラミッド型組織、権限移譲型、部下に自由な裁量を与えるなど、企業の成長段階によって、最適な組織論がありますので正解はひとつではありません。
ですが、あえて断言します。稼げるスター農家を目指し、年間売上1億円、3億円を超えていくレベルであれば、意識構造学に基づき、まずはピラミッド型の組織をきちんと作るべきだと思います。
それでは本題の3つの理論についてお伝えします。
組織図を整えよ、「ひとり1上司」理論
組織がピラミッド型になっていない「ダメ農家あるある」を例にとって考えてみましょう。
ダメ農家は、父ちゃんが会長、その息子が社長で、母ちゃんも現役で作業に出ています。しかし、スタッフが何かの作業に取り掛かろうとすると、上の3人が次のように指示を出してきます。
息子(社長)「●●を優先して」
父ちゃん(会長)「なんでお前は今、そんなことをしてるんだ?」
母ちゃん(会長夫人)「そうじゃなくてこうやりなさい、こっちの方が効率的でしょう?」
これでは混乱が生じてしまい、働いている人たちにとって、誰が上司で誰の指示に従えばいいのか、分からない状態です。
改善するためには、まず組織図を書いてみてください。働く人ひとりに対して、上司がひとりの状態になっていますか?
「ひとり1上司」にする意味は、上司が部下の育成に責任を持つようになるためです。社長が何でもかんでも指示を出すのではなく、直属の上司が言うようになります。一方、部下の立場からすると、迷いがなくなるので、作業や仕事のスピードがアップします。
組織も個人も成長するための第一歩は、「ひとり1上司」が基本なのです。
「姿勢のルール」なら「できる・できない」は存在しない理論
あなたの農家では、組織で決めたことがしっかり守られていますか?
それとも「ウチはなかなか続かない」とか「社長がまた何か新しいことを始めた程度にしか思われていない」と諦めムードが漂っていませんか?
社長や幹部が決めたことを、現場がばっちり徹底する、そんな組織が理想ですよね。
そのためには、先ほどの「ひとり1上司」と同時に「姿勢のルール」を作る必要があります。
「姿勢のルール」とは、“挨拶”や“身だしなみ”、“出社時間を守る“といった「できて当たり前」言わば「できる・できない」が存在しないことを指します。
これに対して、 “売上達成”や“収穫量”、“作業効率の改善”といった行動面におけるルールは「できる・できない」の差がはっきりします。
ルールには、姿勢面と行動面のふたつが存在し、性質が異なることを認識して使い分ける必要があります。そして、姿勢のルールは組織の構成員として、最低限守る必要がある決まりです。これを明確に示し、全員に必ず守らせます。あなたが経営者や各部門の責任者だった場合、決して諦めてはいけません。
ルール作りの例をあげてみましょう。
【全社共通】で守るルール
・挨拶は相手に届くような声の大きさでする
・病気で休む場合は、業務開始1時間前までに上長に連絡する
・業務中の過度な私語は慎む
【生産部門】が守るルール
・生産、出荷工程の管理は、マニュアルに従う
・トラブル・ミスは、その日の業務が終了するまでに上長へ報告する
・作業の進捗は、その日の18時までに日報に記入する
例えば【ニラ部門】であれば、
・農具、資材の使用後は所定位置に戻す
・収穫コンテナは土の上に直置きしない……といったところでしょうか?
まずはこれらを徹底できる組織習慣を身に付けましょう。その後に行動のルールを設定すると、決められたことが着実に実行できる組織へと成長します。
どこを評価するべきか?「結果で評価」理論
これは文字通り「結果で評価する」という考えです。その反対は、結果にたどりつく前の過程(プロセス)や、努力・頑張りを評価する方法です。
シンプルな話、経営者は結果で評価されています。一生懸命にトマトを作っても、味が悪ければ評価されません。あれだけ頑張ったのに…と嘆いても意味がありません。売上が伸びたり、利益を出したりしないと評価に値しないのです。
従業員だからといって、結果でなく頑張りで評価されるということはありません。上司に求められる結果によって初めて評価されるのです。だからこそ、組織図を作って、一人ひとりの役割に求める数値目標や責任を明らかにすることが重要です。次に例をあげてみます。
【代表者】の数値目標
・1年間で〇万円の利益を残す
【生産部門長】の数値目標
・生産部門では、1年間で〇万円の利益を残す
【農場長、現場リーダー】
・一日の収穫量〇kg
・収穫量のうち〇%は製品になる(歩留まり〇%以上)
といった具合です。この場合は、この結果を果たすために、各個人に権限もセットで与えます。評価は、結果が達成できたかどうかです。
人を採用するときは、理念やビジョンに共感する人を選びますが、結果に直接結びつくプロセスは、部下の力量に応じて、日時や週次、月次で管理します。でも評価は結果がすべてです。「よく頑張ってるなぁ」という印象で評価はできません。
▼参考図書
伸びる会社は「これ」をやらない!
できる課長は「これ」をやらない!
伸びる新人は「これ」をやらない!
以上で、第8回は終了です。
今回は意識構造学(識学)という理論から、代表的なものを紹介しました。まだまだ奥が深いので、ちょっと興味を持ったら参考図書も読んでみてください。それでは次回は「数値化(データ化)して何が分かる?」編です。お楽しみに!