スター農家ラボ(ブログ)

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失敗から学ぶ!データ活用の重要性とは?

みなさん、こんにちは。スター農家クラウド開発責任者の松永です。
12月に入り、朝がより一層寒くなってきましたね。私が統括しているクロスエイジの産直流通部門も、年末年始に向けて慌しく動いています。
現在は現場を離れていますが、5年前までは年末になると農家さんのところで出荷作業を手伝ったり、食品スーパーのセンターへ自家用車で夜中に納品する等をよく行っていました(笑)

さて今回は、私が責任者を行っているクロスエイジの産直流通部門での失敗事例からデータ活用の重要性についてはお伝えしたいと思います。
背景としては「データを取っているけど、どのように活用したらよいか分からない」などの声をよくいただきます。

そこで2022年に私が実際に経験したエピソードをご紹介します。
データを見ずに意思決定を行って失敗した話、そこからどのように改善したかをご紹介します。
結構、リアルな数字も出てきますので、ぜひご覧ください。

目次[非表示]

  1. 1.事例紹介(品目Aの粗利額が減少!全然儲かってないじゃん)
  2. 2.事例紹介(実際の改善策について)
  3. 3.結果
  4. 4.改善の振返り
  5. 5.まとめ

事例紹介(品目Aの粗利額が減少!全然儲かってないじゃん)

ここからは実際の事例を紹介します。
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クロスエイジでは品目Aを主力品目として取り扱っている。
15件の契約農家から仕入れ、全国十数か所の外食チェーン、スーパー、食品加工メーカーに納品している。
その品目Aは2021年7月時点で、月間の粗利額140万、売上額1000万、粗利率は約11%であった。
(※クロスエイジの粗利額=売上額-仕入額-物流コスト。)
但し、2021年10月以降に複数産地からの原料値上げと物流コストのアップが続き、
半年後の2022年3月には月間の粗利額65万、売上額1000万、粗利率は約7%となった。
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私が”何かおかしい”と気付いたのは2022年1月中旬です。
品目Aの粗利額の低下要因は以下3つでした。

■粗利額の低下要因
①過去の記憶に頼ったこと
なんとなくうまく行っているだろうとの思いこみ

②定量データの定期確認を怠る
全体感の粗利額・売上額のみ確認し、品目ベースでの状況確認を怠る

③実態把握に時間がかかる
品目Aを取り扱う上で各産地の状況や販売先への価格転嫁状況などの全体把握に1か月かかる

事例紹介(実際の改善策について)

ここからは改善策のエピソードです。

2022年1月中旬の問題発覚から、1か月かけて事実確認と今後どのように改善するか方針を決めて実際に2022年3月から行ったことは以下の通りです。

①改善行動の目標設定
 目標値を2022年9月迄に粗利率11%以上

②チェック体制の整備
a)月次単位での粗利チェック
 品目Aの個別取引をチェックし、粗利率の低い取引は担当者に改善アラート
 例)毎月5営業日までに粗利率が低い取引を抽出

b)最低粗利率の設定
 条件を満たさない場合は単価アップ交渉 or 取引縮小

③実行支援
a)既存顧客への単価アップ交渉、新規顧客開拓(よりキロ単価が高い顧客の開拓)

結果

2022年3月~先ほどのエピソードで紹介した改善策を実行し、結果としては2022年9月には粗利額2022年10月も粗利額110万/月、売上額900万/月。売上額は減りましたが、利益が残る体制になりました。
改善活動を行う改定で物流コストの値下げ、新規産地開拓による供給力アップ、受注オペレーションの改善など副次的な効果もありました。
2022年12月は売上額は1000万/月、粗利額は140万/月を達成見込みです。現在の品目Aの目標は粗利率をキープしながら、2年後に売上額1.5倍にすることです。


改善の振返り

この品目Aの粗利額見直しによって、私が再度考えさせられたデータ活用の重要性は以下4つ。

1.事実(結果)を正確にタイムリーに把握すること
2.結果だけでなく、目標(あるべき姿)との差分も正確に把握すること
3.差分を明確にした上で、意思決定して行動すること
4.データ活用することで、上記1~3のPDCAサイクルを高速に回すことができる

この4つをさら詳細に説明すると
1は、環境変化が激しいからこそ”感覚や思い込み”に頼らない事実をタイムリーに把握できる環境が必要です。

2は、目標との差分を見たときは精神的に辛いですが、現実を受け止める力も必要です。

3は、差分が不明確だと改善策の内容も的外れになるので、差分を明確にした意思決定が必要です。また改善の意思決定をしたときは組織のスタッフを巻き込みます。
 「自分達が何で改善しないといけないのか、どのくらい改善しないといけないのか」が明確だとスタッフの行動の迷いもなくスムーズに行動改善が進みます。

4は、「課題を最も効果的に改善できる」PDCAサイクルの定期的なモニタリングする場を経営者やリーダーは設定する必要があります。放置はNGです。

まとめ

今回はクロスエイジの品目Aの粗利額改善のエピソードを紹介しながら、データ活用の重要性をご紹介しました。
現在は色んな生産原価コストが上がっているので、気付いたら全然儲かってない!という状況になりやすい環境かなと思います。
私も品目Aでの失敗後は、かなりシビアに原価(仕入価格や物流コスト)を見るようにしています。そして問題があれば、どのように対応策をとるか、組織内で議論するようにしています。
今回のブログ内容を見て、実際にご自身の商品の販売状況に変化がないか、思った以上に生産原価にブレがないかなど見直して頂ければと思います。

年内は今回が最後のブログです。
生産者の皆さまは年末年始の出荷でお忙しいと思いますが、体調管理にはお気をつけてください!
それでは良いお年を!

松永 寿朗
松永 寿朗
スター農家クラウド開発責任者/農業総合プロデューサー

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